百日咳は百日咳菌による感染症で、最初は風邪症状ですが、徐々に悪化し、かなり強い咳になることもあります。2024年後半から百日咳患者の増加傾向が見られ、2025年は9月の時点で累計7万人を超えております。この約半年間で基礎疾患のない生後1か月の乳児を含む、少なくとも4名の赤ちゃんが亡くなっております。抗生物質が効きにくいマクロライド耐性百日咳菌が増えていることも一因です。昨年末から耐性菌の増加が著明になってきており、現在では70-80%を耐性菌が占めています。百日咳は、生後6ヶ月未満の乳児が感染すると、呼吸困難、肺炎、脳症などで重症化しやすく、命に関わる危険性が高まります。大人には耐性菌に対して代わりの抗生剤が使用できますが、新生児や低出生体重児、妊婦さんには原則使用できません。そのため赤ちゃんに感染させないことが何より重要です。耐性菌に対してもワクチンは有効です。生後2か月になった赤ちゃんは速やかに5種混合ワクチンの接種を受けましょう。兄弟からの感染も多いため、兄弟の予防接種も重要になってきます。定期接種で受けられる百日咳の免疫は年齢とともに低下し、小学校に入学するころには効果が弱まっています。追加で受けられるDPTワクチンは就学前(5ー6歳)以降で接種可能です。11歳ー12歳のDTワクチン(2種混合)を百日咳を含むDPTワクチンに変更することも可能です。DPTワクチンは任意接種で5000円となります。また妊娠後期の妊婦さんへのDPTワクチン接種によって、赤ちゃんへの感染予防効果も認められており、百日咳流行期は妊婦さんも接種が推奨されています。